“3代目の雑記帳”は、前回を以って一旦休止となりました。
これからシリーズで今回の出張の話題をお届けしていきたいと思います。
まずはミラノの次に訪れたスペインの首都マドリッドから。
こちらでは昨年より本格的に弊社と取引が始まった、スペインを代表する婦人服地のマーチャント“CADENA(カデナ)”を訪問しました。
こちらはまだ創業50年弱という欧州のマーチャントとしては比較的新しい会社ながら、年間約4,000万ユーロ(約50億円)という売り上げ規模を誇り、世界80ヶ国に高級婦人服地を輸出しています。
バルセロナの近郊の街、サバデルには製造拠点も有しており、マーチャントではなく「マーチャント機能を持ったミル」という見方もできるかも知れません。
また、スペイン国内に4店舗、南米に4店舗の小売店も展開し、一般消費者に服地を小売しているのも特徴的です。
左上写真はマドリッド郊外の本社に併設された倉庫の模様。
マーチャントの倉庫としては今まで私が見た中で最大の規模のもので、フォークリフトが動き回り、大きなカゴごと服地を移動している光景が印象的でした。
その他の写真は、マドリッド市内中心部にある高級ブランドショップが軒を連ねる通りから1本入ったところにある、同社の小売店の一つで、本社を午前中に訪れた後に連れて行っていただきました。
まるでブランドショップのような店構えと、豊富な服地の数々にビックリしましたが、次から次へと入ってくるお客さんの数も驚きでした。
スペインでは、結婚式やパーティーなどドレスを着る機会が現在も多く、生地を自分で買ってテーラーやドレスメーカーに持ち込むのが日常的なようです。
この日の訪問は大変有意義なものでしたが、ランチは勿論15時から2時間ほどかけたスペイン式で(オーブンで水だけ使って調理した極上のラム肉をいただきました)、初日から満腹御礼のスタートでした。
お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、弊社HPの“ニューコレクション”ページがリニューアルされ、トップページのフォトイメージも春夏バージョンへと変わりました。
昨年はもう少し早いアップで、今年は私の海外出張が前倒しになったこともあって遅れてしまい申し訳ありませんでしたが、これでいよいよ2009年の春夏シーズンが本格的に始動します。
新しいコレクションのバンチの多くは、既にデリバリーが完了しています。
左上写真は4冊の全てが出揃った“ハリソンズ オブ エジンバラ”の新コレクション。
右上写真は4冊のうち3冊のデリバリーが終了している、弊社オリジナル“ブリタニック・コレクション”です。(各コレクションの詳細はNEW COLLECTIONから)
今季も多くの魅力的なクオリティー、色柄が登場していますが、“ハリソンズ”で一番の注目はやはりサマージャケット地の新作“SUNBEAM(サンビーム=左下写真)”。シルク特有の美しい光沢に恵まれたこの服地は22色柄で展開され、陽光の眩しい季節を鮮やかに演出します。
また、様々なブランドの高品質服地が編集された“ブリタニック・コレクション”は、今回も「宝箱」のような充実ぶりですが、近年の一番人気はやはり“カノニコ”の“ウール&キッドモヘアツイル(右下写真)”で、そのシャイニーでエレガントな雰囲気が高く評価されています。
このクオリティーには多くの新色柄が登場しており、2着目のご購入をお考えのお客様にもお喜びいただけることと思います。
魅力的な新作服地の数々は、バンチの服地に実際に触れながらその質感をお楽しみ下さい。
###お取引先様へのお知らせとお願い###
バンチの冊数には限りがある為、各お取引先様の前年のお取引状況に応じて新バンチをご用意させていただいております。
ご希望に添えない場合もありますが、何卒ご理解をお願いいたします。
先週の金曜日に無事帰国し、今日から出社しています。
相変わらずデスクの上には仕事が山積みで、少し途方に暮れながらもなんとか手を付け始めているところです。
さて、出張先での話題はこれから少しずつ書かせていただきたいと思いますが、今回は上の写真の雑誌についてのトピックです。
写真の雑誌“TWIST(ツイスト)”は一見ファッション誌の様ですが、実は1909年以来の長い歴史を持つ英国のアパレル業界誌です。
一昨年までは“WOOL RECORD(ウールレコード)”という名称で発行されていて、その名の通り“TOP(トップ=ウール原料)”や“YARN(ヤーン=糸)”に特化した、業界のかなり川上向けの月刊誌だったのですが、昨年リニューアルされた際に名称と共に内容も大きく変わり、総合的なアパレル業界誌へと変貌を遂げました。
最近は海外へも販路を拡大しようとしているようで、弊社にもフリートライアル(無料お試し版)が送られてきています。
ところで、私が今日着いたばかりのこの雑誌を手に取った際に気を惹かれたのは、やはり表紙のダニエル・クレイグが扮する“007”ジェームス・ボンド。
「何の記事だろう?」と思ってページをめくると、“007”シリーズ最新作の“慰めの報酬”でジェームス・ボンドが着用したディナースーツ(タキシード)についての話題でした。
ご存知の方も多いと思いますが、今作のジェームス・ボンドが着用しているスーツは近年の“ブリオーニ”製ではなく、アメリカの新進デザイナー トム・フォードが製作したものですが、毎回お約束のディナースーツについては、英国の名門ミル“テイラー&ロッヂ”の服地が採用されていたそうです。
右写真のページでは詳細の説明があり、ページの左の写真にあるのが実際の服地で、クオリティーは300グラムのウェイトのモヘア&カシミア素材です。
この映画の撮影の為に20着のディナースーツが製作されたそうで、そのスケールの大きさには驚かされますが、作品全体ではなんと350着(!)がジェームス・ボンドの為に用意されたそうです。
ちなみにページの右上写真は、私もよく知っている“テイラー&ロッヂ”の現セールスディレクター ロバート・マックイラン氏で、同氏のインタビューも掲載されています。
残念ながら弊社ではこの服地と同じクオリティーのお取り扱いはございませんが、秋冬シーズンの“ブリタニック・コレクション”には“テイラー&ロッヂ”の看板クオリティー“ノーブル・スパン(SUPER120'S & CASHMERE)”が編集されています。
次の秋冬シーズンには、ジェームス・ボンドも選んだ英国の名門ミルの高品質服地で一着いかがですか?
今回の出張での仕事は今日で最後となりました。
明日の午後にマンチェスター空港からロンドンに向かい、夜のフライトで日本への帰路につきます。
本日(こちらはまだ水曜日の午後です)は、主要仕入先の一つ“エドウィン・ウッドハウス”で今年の秋冬シーズンをメインに打ち合わせを行ないました。
現在、今シーズン(S/S 2009)のバンチのデリバリーが遅れておりご迷惑をお掛けしていますが、昨年のバンチに編集されている多くの品番は国内に在庫がありますので、新バンチがご用意できるまでの間は昨年のバンチをご覧いただきたく存じます。
“エドウィン・ウッドハウス”と言えば、名作“エア・ウール”の軽量版“サマー・コンフォート”など春夏服地が特に有名ですが、今回のミラノの展示会でもイタリアの有名メーカーなどから多くの引き合いがあったようです。
“サマー・コンフォート”は高温多湿の日本の夏に適した機能素材です。まだ一着お持ちでない方は是非実際に触れてその抜群の清涼感をお確かめ下さい。
16:04発のいつもの特急で先程ロンドンを発ち、現在ヨークシャーの主要都市リーズに向かっています。
WiFi(無線LAN)完備の車内で、久しぶりのログインです。
写真は出発地のキングス・クロス駅の様子。
火曜の夜に英国に入って以来好天に恵まれていたのですが、今日(こちらはまだ日曜です)は正午を過ぎてから小雨が振り出しました。
木曜の夜にロンドンに移動してからは、金曜はサヴィル・ロウの老舗テーラー訪問(“ハンツマン”と“アンダーソン&シェパード”の2軒)、土曜はポートベロー・マーケットと市内散策と大変充実した時間を過ごす事ができました。
この時の模様は改めてお伝えしたいと思います。
今日は先程ロンドン在住の英国人の知人とランチを楽しんできたのですが、昼からビールをたくさん飲んだのでいまだにほろ酔い気分です。
明日から3日間は最終目的地のヨークシャーで仕入れ先各社を訪問する予定で、今回の旅もいよいよ最終章となります。。。
昨晩ドイツからベルギー経由の便で英国に入りました。
明日までの2日間、1895年創業の名門マーチャント“リア ブラウン&ダンスフォード”を訪問中です。
同社が本拠地とする街エクセターは、イングランドの南西部に位置しており、昨晩は車で一時間程の距離にある港町ブリストルの空港に到着した為、4代目のジェームス・ダンスフード氏に迎えにきていただきました。
同社の社屋は5年ほど前にエクセターの郊外に建てられた新しいもので、広大なスペースに多くの高級服地が保管されています。
ご存知の方も多いと思いますが、“リア ブラウン&ダンスフォード”は同じく英国マーチャントブランドである“ハリソンズ オブ エジンバラ”と“ポーター&ハーディング”を傘下に入れており、この2つのブランドの魅力的な服地の数々もこちらでカットされ世界中に発送されています。
上の2枚の写真はウェアハウス(倉庫)の様子。
今日も世界中から多くのオーダーが入り、裁断後パッキングされていましたが、イタリアから大きなオーダーが入ったそうでスタッフは皆さん忙しそうでした。
左下写真はミーティングルームでの打ち合わせの時の模様ですが、設置されているソファーはハリソンズの“ファイン・クラシックス”に収録されている服地を使って作られた特注品だそうです。
英国最大の同族経営マーチャントとして躍進を続ける“リア ブラウン&ダンスフォード”は、新しい社屋に移った後もそのクオリティーが高くバラエティー豊かなコレクションの数々をさらに充実させていますが、社内のあちこちに飾られた旧社屋の写真(右下写真)などを見ていると、それがたゆまない努力に裏打ちされた長い歴史の上に成り立っていることを再認識させられます。
さて、明日の午後にはロンドンに移動し、金曜日はジェームス氏と共に日本のお取引先様 のアテンドでサヴィル・ロウの2件の老舗テーラーを訪問する予定です。
今回の旅もいよいよ後半へと入りました。
ここマドリッドはまだ土曜日で、最後の夜を英国時代の友人宅で過ごしています。
写真は今日連れて行ってもらった街、セゴヴィアの様子です。
マドリッドから87kmの位置にあるこの歴史ある街は、ローマ時代からの水道橋や旧市街が世界遺産に指定されており、マドリッドからの日帰り観光地として人気があります。
昨日の仕事が終わってから週末のオフの間を友人宅に泊めてもらっているのですが、スペインの美味しい料理をたくさん食べさせてもらっている為慢性的に満腹状態で、日本に帰ってからダイエットが大変そうです。。。
ちなみに昨日の夕食は21:30からで、今日のセゴヴィアでの昼食は15:30から2時間以上かけて名物の豚料理をいただきました。
こちらはとにかく食事の時間が遅く長いのです。
スペイン時間にようやく体が慣れてきたところで、明日はヨーロッパでも文化的に対照的な国ドイツのミュンヘンへと向かいます。
美しい風景を誇るセゴヴィアについては、後日また詳しく書かせていただきたいと思います。
今、ミラノにいます。
一昨日の夜に到着しましたが今日がこちらの最終日で、今から再度展示会場に行った後、午後には次の目的地のマドリッドに向かいます。
「なぜマドリッド?」とよく聞かれるのですが、マドリッドには婦人服地の新しい仕入れ先の本社があるのです。
さて、左上写真は昨日訪れた服地の総合展示会“ミラノウニカ”会場の外観です。
その他の写真は、その中の紳士服地展示会“イデアビエラ”の会場内の様子で、下の2枚の写真は“エドウィン・ウッドハウス”のブースのものです。
右下写真は知る人ぞ知る業界の有名人、パオロ・ファビアーニ氏。
イタリアの有名アパレル企業を渡り歩いた、「イタリアスーツ業界の生き字引」と呼ばれる人物で、90年代前半より“エドウィン・ウッドハウス”のデザインコンサルタント兼イタリアでのエージェントとして活躍されています。
60歳をとうに越している筈ですが、まだまだファッションへの情熱は衰えることなく、“キートン”や“チェザーレ・アットリーニ”のバイヤーも同氏を目当てに毎回真っ先に同社のブースを訪れます。
昨日も来年のトレンドなどについて色々教えていただきましたが、大変参考になる充実した内容でした。
私の憧れの一人である、業界の大先輩です。