9月末から断続的にお届けしてきた“海外出張シリーズ”ですが、ついに最終目的地の英国 ヨークシャーとなりました。
以前(一昨年まで)は、2月と9月にパリで開催される服地見本市“PREMIER VISION(プルミエール・ヴィジョン)”が旅の始まりで、ブリュッセルのスキャバル等の英国以外の仕入れ先を数社訪問した後英国に入り、ロンドンを経てヨークシャーで終わるという行程でした。
しかし昨年から、以前はプルミエール・ヴィジョンに出展していた英国ミルが続々とミラノの“MILANO UNICA(ミラノ・ウニカ)に出展を初め、弊社がエージェントを務めるエドウィン・ウッドハウスなどはプルミエール・ヴィジョンへの出展を止めてミラノ・ウニカへ一本化することになりました。
その為私も昨年よりミラノ・ウニカにも行くようになったのですが、ミラノ・ウニカは毎回プルミエール・ヴィジョンの前の週に行われる為以前より1週間早く出国することになり、それに合わせて私の出張も長期化(今回は17日間)するようになりました。
2回合わせると1ヶ月を超える為、私は1年のうち1ヶ月は日本にいない計算になります。
さて、通常はパリから英国南部のBRISTOL(ブリストル)に飛び、ブリストルから車で1時間の都市でDEVONSHIRE(デヴォンシャー)の州都であるEXETER(エクセター)に行き、英国最大のファミリー(同族経営)マーチャント リア ブラウン&ダンスフォードを訪問します。
そして、ロンドンで週末を過ごし日曜日の夜にヨークシャーに入るのですが、今回はお取引先様のアテンドがパリであった為エクセターには行かず、パリから直接ロンドンに入りました。
毎回、ヨークシャーでの初日はエドウィン・ウッドハウスを訪れます。
ミラノ・ウニカでは他のミルのブースも多く訪れないといけないので、弊社の最重要仕入先の一社であるウッドハウスとの次のシーズンのコレクションの打ち合わせは、やはり腰を据えて行わないといけないのです。
左上の写真は、本社3階のコレクションルームで同社の膨大なサンプルの中から日本に向いた色柄を選んでいるところです。
服地の色柄を見る上で“光”が非常に重要な為、この部屋には大きな窓と天窓があり自然光でサンプルを見ることができます。
各ミルでは、一つの柄でも100色近い数を通常“ブランケット”といわれるマス見本で試作する為、その全てを見ようとするとかなり大変です。
また、弊社は現在ウッドハウスの多くのクオリティーを日本で展開しており、新バンチや原反のデリバリーなどに関する細かい打ち合わせも多い為、同社には毎回2日間カンヅメとなり商談に没頭します。
ところで、今回の訪問に於ける重要なミッションの一つが、当サイトのカテゴリーの一つ“A GUIDE TO FABRICS(服地について)”内の “VIRTUAL TOUR(工場見学)”に使用する工場内の写真で、足りないものの写真を撮影することでした。
今までフィルムで撮影したものや、デジカメで撮影したものが各工程で混在していたので、これを機に全ての工程をデジカメで撮影することにしたのですが、英国伝統で現在は希少な仕上げ法“ペーパープレス”など限られた曜日にしか行われない工程などもある為、全てをカメラに収めるのにはなかなか苦労しました。
右上写真は、2日目でようやく撮れた“ペーパープレス”の工程です。
大きなボールの中には電極が入っており、加熱されて温かい状態のものを次々に服地の間に挟みこんでいきます。
その後、巨大な万力のようなもので2トンもの圧力を加えながら一晩寝かします。これにより服地が安定し、抜群のツヤとコシが与えられるのです。
挟み込みの作業は簡単にやっているように見えますが、2人がかりでシワを作らずにテンポよくやらないといけない為、熟練した職人でないとできないとの事です。
“VIRTUAL TOUR(工場見学)”は、実際にミルに行かないと見れない服地製造工程が写真と解説付きでご覧いただけるページですので、スーツ業界の方でまだご覧いただいていない方は是非一度ご覧下さい!!