今回からは、パリから久しぶりの“ユーロスター”で入ったロンドンの話題をお届けいたします。
前回の2月の出張に続き、今回も金曜日にお取引先のアパレル会社の3名様のアテンドで、サヴィル・ロウの老舗テーラー見学(2軒)を行いました。
前回同様、アレンジ、同行は“ハリソンズ オブ エジンバラ”を傘下に持ち、サヴィル・ロウの全ての名門テーラーに服地を供給する英国最大のファミリーマーチャント、“リア ブラウン&ダンスフォード”の4代目、ジェームス・ダンスフォード氏にお願いしました。
通常、サヴィル・ロウの老舗テーラーは、敷居の高さと重厚な佇まいの為サロンに入ることさえ憚られる雰囲気で、工房の見学は上顧客でもない限りまず無理なのですが、役得もありこういった機会を頻繁にいただけることは有難い限りです。
さて、まずは始めに訪問した“ハンツマン(左上写真)”の様子から。
創業1849年という長い歴史を誇り、欧州各国の王族・貴族の御用達テーラーとしてその名を馳せてきた“ハンツマン”ですが、近年はサヴィル・ロウ出身の人気デザイナー アレクサンダー・マックイーンとコラボレートしたスーツを手がけるなど、新たな試みにも果敢に挑戦しています。
エントランスを入ってすぐのサロンは相変わらず重厚な調度品で溢れていますが、モダンなレディーススーツをディスプレーするなど、ソフト路線の打ち出しをしているようです(右上写真)。
顧客が裁断作業を実際に見れるように、カッター(裁断士)の作業台をサロンから見えるように配置するのが最近のサヴィル・ロウでのトレンドのようで、ここ“ハンツマン”では3台もの作業台で行なわれている作業を見学することができます。
この日は、まだサヴィル・ロウでも珍しい女性カッターが裁断作業を行なっていました(左下写真)。
ところで、サロンの取りやすい位置には“ハリソンズ”、“ポーター&ハーディング”など英国マーチャントのバンチが下げられているのですが、これはサヴィル・ロウ専用の特大サイズのもので、頻繁に使われている為どれも年季が入っています。
-続く-