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YORKSHIRE GUNROOM

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ロンドンで週末を過ごした後は、お取引先の若手テーラーさんとご一緒に特急で北上し、ヨークシャーへと向かいました。
週明けにはいつも通り“エドウィン・ウッドハウス”を訪問したのですが、先日ご説明しましたように、私の帰国後に4代に亘って同社を経営してきたゴント家が服地事業を売却した為、この時がゴント家傘下の“エドウィン・ウッドハウス”最後の訪問となってしまいました。(ゴント家は、現在も“エドウィン・ウッドハウス”の社屋を含む広大な工業団地を所有しており、彼らの新しい不動産管理事務所も敷地内にある為、今後も簡単に会うことはできるのですが... 残念です。)
さて、この日は午前中に会社訪問を済ませると、ジョン・ゴント氏にシューティングへと連れて行っていただきました。
場所は“ヨークシャー・ガンルーム”というクレー射撃場で、ジョン氏の実家がある「ヨークシャー一豊かな町」ハロゲートの近郊にあります。
左上写真は、様々なタイプの銃がストックされている保管庫。
今回は上下2連装の散弾銃をチョイスして、フィールドに向かいます。
まずは、最もキャリアが長いジョン氏からスタート(右上写真)。
次は私の番で、何発か打つとようやく少し勘が戻ってきました(左下写真)。
とはいえ、私もまだまだビギナーなのですが、たまにこうして美しい自然の中カントリースポーツに興じるのは、私の出張時の密かな愉しみです。
初体験だった若手テーラーさんにも、愉しんでいただけたようでした。

ST. MARTINS

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今回は、週末のロンドン散策の続きをお届けします。
皆様ご存知の通り、車(特にクラシックカー)は私の少ない趣味の一つなのですが、実物と違ってモデルカーは手軽に購入・収集する事が出来る為、私にも英国時代から買い集めてきたささやかなコレクションがあります。
コベント・ガーデンからレスター・スクエアの方向に歩いて行くと、“St. Martins Lane”の95番地に、その名も“St. Martins(セント・マーティンズ)”というモデルカー専門店があるのですが(上写真)、私もロンドンに住んでいた時にはよく覗きに行きました。
英国だけでなく欧州中にその名を轟かすこのショップは、その豊富な品揃えとコレクションの質の高さに定評があり、毎日多くのファンが訪れます。
ところで、毎年少しずつ数は減っていますが、現在でもロンドン市内を歩いていると年季の入ったオールドカーを頻繁に見かけることができます。
下写真は、私が宿泊していたホテル横の路地に停まっていた“AUSTIN A35”。
1956年から1968年まで製造されていた立派な「クラシックカー」なのですが、こんな車が街に停まっていて全く違和感が無いのは、ロンドンの懐の深さではないでしょうか。

COVENT GARDEN

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ロンドンでの週末に市内を散策した際、コベント・ガーデンの方まで足を伸ばしました。
日本で言うと“裏原”のような、お洒落な店が多い若者に人気のスポットなので、ショップのウインドーを見ながら歩いているだけでも結構愉しめます。
中心にあるマーケットの横には、昨年リニューアルしたばかりの“ロンドン交通博物館”がありました(左上写真)。
今回は中には入らなかったのですが、無料で入る事ができるミュージアムショップ(右上写真)では、鉄道を中心とした様々な乗り物に関連したグッズを販売しており、子供へのお土産探しには最適です。
下写真は、その起源を1670年まで遡るマーケットの建物で、現在はショッピングアーケードとして使われています。
中にはレストランやカフェなどもあり、私も学生の頃はよく遊びに来たものでした。

PORTOBELLO MARKET

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今回はロンドンの週末の話題をお届けいたします。
以前に書かせていただいた通り、今回(本年2月)の英国出張はお取引先様のアテンドという任務があった為、金曜日はサヴィル・ロウのテーラー見学などを行なったのですが、週末はいつものように市内散策に出かけました。
まず向かったのは、ノッティング・ヒルの“ポートベロー・マーケット”。
この有名な蚤の市は毎週土曜日の一日のみ開かれており、世界中から多くの観光客が訪れますが、同じく有名なロンドン北東部の“カムデン・マーケット”と違い(こちらは古着などがメインの裏原系マーケットです)、アンティークの掘り出し物が多いことで知られています。
左上写真は最寄り駅である、セントラルラインのノッティング・ヒル駅。右上写真は駅から北方向に6,7分歩くと始まる路上マーケットの様子です。
実は私はロンドンの大学に行っていた頃、半年程このエリアに隣接するベイズウォーターという場所に住んだことがあります。
“ポートベロー・マーケット”まで徒歩約10分という好立地だった為、土曜日には友人達とよく散歩がてら繰り出したものでした。
さて、マーケットの出店には、歩行者天国の路上にある露店スタイルのものと、道路脇の建物内にあるブーススタイルのものがあり、アンティークの時計や家具などの高額商品はだいたい屋内のショップで扱われています。
私が学生時代から欠かさず覗く店の一つに、「ハドソンさん」の店があり(左下写真)、今回もお邪魔すると温かい握手で迎えてくれました。
こちらでは、氏が収集した20世紀初頭(1900~1950年)を中心とした雑誌から、美しい絵や写真が使われた広告を切り出し、紙枠に入れて販売しているのですが、これらをアンティーク調の額縁に入れて飾ると、なんともレトロな良い雰囲気が出るのです。
私はいつも欧州車の広告(アール・デコ時代のもの)を自分用に探すのですが、有名時計メーカー“ROLEX”の戦前のシリーズ広告(ストーリー別のもの)などは世界中にコレクターがいる人気アイテムだそうで、私も英国留学中に高校時代の先輩に頼まれ、「ハドソンさん」と50枚の大量買付け契約(少し大げさですが...)を結んだこともあります。
今回は“JAGUAR”の広告と、久しぶりに見つけた“ROLEX"シリーズの一つを購入しました。
こちらのショップは、マーケットのメインストリートを少し外れたウェストボーン・グローブ沿い(ポール・スミスのウェストボーン・ハウスの並び)にありますので、“ポートベロー・マーケット”に行く機会のある方は是非覗いて見て下さい。(ちなみに価格は1枚8ポンド=約¥1,600と元々リーズナブルですが、枚数をまとめれば値引きにも応じてくれます)
最後になりますが、右下写真はお取引先の若手テーラーさんと一緒に「駄目もと」で探していて見つけた、アンティークの“SHEARS(シアース=裁断士用大鋏)”。
私は数年前に見つけて以来(詳しくはこちらから)、何度探してもお目にかかったことがないレアアイテムなのですが、今回なんと「ハドソンさん」の露店がある建物の地下の店で発見しました。
20世紀初頭に作られたこの英国製の大鋏は全長約35cmの堂々たる風格ですが、交渉の末50ポンド(約¥10,000)で購入することに成功。
若手テーラーさんの旅の思い出となる品が見つかり私も非常に嬉しかったのですが、同時にマーケットでは諦めずに探す事が大切だと痛感させられました。

SAVILE ROW ④ HENRY POOLE -Ⅱ-

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1階奥にある階段を下りると、工房が広がっています(左上写真)。
勿論、こちらは基本的に部外者は立ち入ることが出来ないエリアで、世界中の王族、上流階級の洋服を仕立ててきた名門“ヘンリー・プール”の舞台裏と言えます。
右上写真は、同店が得意とする礼服の製造工程を説明していただいているところで、その傍らでは熟練職人の魔法の手が、流れるような動きで礼服を縫い上げていきます(左下写真)。
見学を終え1階に戻ると、ちょうど目に入ったスーツはハリソンズの定番クオリティー“フロンティア”で仕立てられたものでした(右下写真)。
弊社が取り扱っている服地が、このような名店で実際に仕立て上げられているのを見ると、いつも嬉しくなってしまいます。

SAVILE ROW ③ HENRY POOLE -Ⅰ-

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しばらく中断してしまいましたが、海外出張シリーズに戻らせていただきます。
今回から2回に分けて、“ハンツマン”の次に訪問した同じくサヴィル・ロウの名門テーラー、“ヘンリー・プール”について書かせていただきます。
こちらも数年前に一度お邪魔したことがあるのですが、1806年創業というサヴィル・ロウで最も長い歴史を誇る同店は、昭和天皇を含む世界中のロイヤルファミリーを始め、ナポレオンやウィンストン・チャーチルなど歴史的偉人の洋服を仕立ててきたことで知られています。
左上写真は1階にあるサロンの様子で、壁中に掛けられている各国の王室御用達証が目を惹きますが、その中には大正時代に贈られた日本帝国皇太子(後の昭和天皇)の御用達証もあります(右上写真)。
こちらのサロンでも、奥の裁断台でカッター(裁断士)が作業している様子を見ることができるのですが、無駄のない美しい動きに思わず見とれてしまいます(左下写真)。
今回案内していただいたのは、マネージングディレクターのフィリップ・パーカー氏(右下写真)。
とても気さくな方で色々と話が弾みましたが、“ヘンリー・プール”の歴史が書かれた貴重な本まで戴いたのには恐縮しました。
-続く-

SAVILE ROW ② HUNTSMAN -Ⅱ-

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“ハンツマン”訪問の続編です。
今回の訪問では、ジェネラルマネージャーのピーター・スミス氏に私達一行を案内していただきました。
私は数年前に同店にお邪魔した時に一度お会いしたことがあるのですが、スポーツマン体型の若きセールス担当の氏は物腰の柔らかさがさすがで、以前は一番地のギーブス&ホークスに在籍していたそうです。
今回もスミス氏のご好意で、通常は入ることのできない工房の中を見学させていただきました。
左上写真は地下にある型紙の保管室のもので、顧客の型紙はこちらで長期に亘り保存されます。
右上の写真に写っているのは、工房の片隅に干されていたキャンバス(芯地)で、素材にもよりますが収縮させるために一度水に通してから使用するそうです。
下の写真は縫製の模様ですが、工房ではベテランから若手まで多くの方が作業をしています。
近年サヴィル・ロウの工房では女性の姿を多く見かけますが、右下写真でボタン穴をかがっているのも熟練の女性職人です。

SAVILE ROW ① HUNTSMAN -Ⅰ-

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今回からは、今年の2月20日から滞在した英国での話題をお届けいたします。
まず、紳士服と言えばやはり“聖地”サヴィル・ロウ。
今回の英国滞在は、日本からはるばるいらして下さったお取引先の若手テーラーさんのアテンドがあった為、久しぶりにサヴィル・ロウの名門テーラー訪問を企画しました。
“ハリソンズ オブ エジンバラ”を傘下に持ち、サヴィル・ロウの全ての名門テーラーに服地を供給する英国最大のファミリーマーチャント、“リア ブラウン&ダンスフォード”のジェームス・ダンスフォード氏に今回もアレンジしていただき、当日は同行までしていただきました。
さて、始めにお邪魔した11番地の“HUNTSMAN(ハンツマン)”は、創業1849年という長い歴史を誇り、欧州各国の王族・貴族の御用達テーラーとしてその名を馳せてきました。
“ハンツマン”のビスポークスーツは一ツ釦にこだわったその独特のスタイルと共に、「サヴィル・ロウで一番高価」と言われるそのプライスも有名で、現在の一着仕立て上がりのスタート価格はなんと4,000ポンド(約80万円)だそうです。
左上写真は通りに面したサロンで、顧客はこちらで生地選びなどを行います。
以前は違ったのですが、現在はサロンの奥にカッター(裁断士)の為の裁断台が配置されており、実際の作業をサロン内から見学することができます(右上写真)。
左下写真はカッターの一人が仮縫い後の調整をしている様子。
見せていただいた古いオーダー台帳(右下写真)には、顧客が過去にオーダーした服地のカッティングが整然と収められていました。
-続く-

BIELMONTE

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今回は、シリーズでお届けした“エルメネジルド・ゼニア”訪問の番外編です。
同社の工場があるトリヴェロは、BIELMONTE(ビエルモンテ=ビエラ山)の麓に位置するのですが、この山の頂上へ至る14キロにわたる道路を建設させたのは、なんとエルメネジルド・ゼニア本人でした。
現在、この一帯は“OASI ZEGNA(オアジ・ゼニア)”と呼ばれる自然公園となっており、その広さは約100平方キロにおよびます。
私が訪問した日は午前中で工場見学と打ち合わせが終わり、その後ドライブがてらビエルモンテの山頂近くまで連れて行っていただき、昼食はロッヂのレストランでご馳走になりました。
道中及び山頂の景観はとても素晴らしく、慌しい出張の中でのほんの一瞬でしたが大変よい思い出となりました。
左写真は有名なMONTEROSA(モンテローザ)方面を望む美しい眺め。
右写真はいつもお世話になっており今回も同行いただいた、“アニオナ”担当のバッザン氏とのツーショットです。
#今回でイタリア滞在の話題は終了です。

ERMENEGILDO ZEGNA(AGNONA) ③

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総合ファッション企業に成長した“エルメネジルド・ゼニア”ですが、やはり核となるのは同社のオリジンである服地事業です。
このトリヴェロの工場では約450名のスタッフが服地製造に従事し、年間およそ200万メーターの高級服地を市場に送り出しています。
そして先日書かせていただいたように、この中には同社が1999年に買収した高級婦人服地ブランド“アニオナ”の服地も含まれています。
クオリティーが高くエレガントな“アニオナ”の服地は、欧州のトップメゾンで引っ張りだこですが、弊社でも取り扱い婦人服地の中で最も重要な位置を占めています。
今回の訪問でも、製造中や出来上がり後の“アニオナ”服地を多く見かけました(右上写真)。
カシミア、アルパカを始めヴィキューナなどの高級獣毛を得意とする同ブランドですが、起毛を必要とする品質には現在もティーゼル(あざみの一種)の実を使用した伝統的な仕上げを行なっています(左下写真)。
クリックして拡大していただくと分かり易いと思いますが、右下の写真は右側が起毛前、左側が起毛後の状態で、確かアルパカ服地だったと思います。